発売日 | 2023年11月17日 |
ジャンル | ノベルゲーム |
メーカー | ANIPLEX.EXE |
対象年齢 | 全年齢向け |
2023年11月17日にANIPLEX.EXEから発売されたノベルゲーム『ヒラヒラヒヒル』。
本作は、企画・シナリオに瀬戸口廉也氏、UIデザインには長岡建蔵氏、開発はBA-KUと、名作ADV・ノベルを生み出してきた豪華スタッフ陣で製作された作品。
今回はそんな『ヒラヒラヒヒル』をプレイしてみて感じたことや良かった点、人によって評価の分かれる点について紹介していきます。
DL版
ヒラヒラヒヒル『ヒラヒラヒヒル』について
『ヒラヒラヒヒル』のストーリー
登場キャラクター (主人公)
千種正光
⼤学時代の恩師である加⿃周平が院⻑を務める東京府⽴駕籠町病院に勤務する医師。
華族の⼦息であるという異⾊の出⾃を持ち、⾵爛症患者を治療することに強い情熱を持っている。
加⿃の依頼により、⽇本各地に赴き、⾵爛症患者の調査を⾏うことになる。
天間武雄
国内随⼀の⾼等学校に通う学⽣。
柔道の⼼得があり、⾁体的にも優秀。
遠く離れた北国の出⾝。事情のため⼊寮を遅らせ、常⾒家に下宿している。
ひょんなことから、⾵爛症と強く関わってゆくことになる。
『ヒラヒラヒヒル』のゲーム性
本作はイラストCGや音楽とともにテキストを読んでストーリーを堪能していくノベルゲーム。
死んだ人間が蘇る「風爛症」という奇病をテーマにした内容で、医師と学生のそれぞれ違った視点からシナリオが描かれていくダブル主人公モノの作品。
大正初期を舞台にしていて、格好や価値観、常識など現代との違いを感じられるようなキャラクター設定や舞台背景になっています。
死人が蘇るゾンビもののようなホラーやパニック系ではなく、奇病を抱えた人間とそれに対する偏見や家族とのトラブルなどをを描いたリアリティのあるストーリー。
テキストやUIはシンプルで、画面の邪魔にならずに快適に読み進めることができます。
BGMも昔の西洋音楽から影響を受けた大正の雰囲気を味わえるようなどこか異国感のあって作品の世界観にピッタリです。
良かった点
「奇病」をテーマにしたメッセージ性のある社会派なシナリオ
風爛症を抱えた患者との向き合い方や、その家族の結末などがかなりリアルに描かれていてストーリーにリアリティを求めるプレイヤーにはかなり刺さる内容。
ファンタジーな展開やご都合主義な救いも一切ないので、平穏な日常からの絶望やその絶望からの克服に感情移入しやすく没入感が高いです。
社会派な内容で、架空の歴史の一端を見ているような感覚になれます。
未来に希望が持てるようなエンディング
エンディングが、それまでの絶望を完全に帳消しにするようなハッピーエンドではありませんが、未来に希望のある後引きの良い結末でした。
風爛症を救う医師としての向き合い方と、風爛症と関わっていくことになる下宿する学生としての関わり方がそれぞれ描かれていて感動的。
エンディングまでたどり着くことで「みんな、普通の人間なんだ」の言葉の意味が理解できます。
大正初期の時代感を存分に感じられる
大正初期の時代背景の世界観を存分に感じられました。
写真撮影のときにフラッシュを人力で焚くなど、技術や価値観の未発達な感じがところどころで細かに描かれています。
昔の日本を舞台にした作品が好きな方にもおすすめです。
人によって評価の分かれる点
リアルすぎて胸が痛くなる重いシーン
中盤からエンディング前ぐらいまで、ギスギスした人間関係や患者の非道な扱いなどのシーンがあるため、かなり重たい内容になっています。
明るい作品を求めている人には少し抵抗があるかもしれません。
2人主人公で、シナリオの進み方が少し複雑
2人の主人公のそれぞれのストーリーが同時並行的に進んでいくので、人によってはストーリーが混ざったまま読み進めてしまうかもしれません。
それぞれの章やキャラクターとの関係、状況を意識してシナリオを読むよう注意。
総評
瀬戸口廉也氏のリアルで重い内容ながらどこか希望のあるビターエンドを存分に堪能できる作品。
シリアスで社会派な作品で、文芸・人文系の本や小説が好きな方にもおすすめの作品なので、ぜひ興味のある方はぜひプレイしてみてください。
DL版
2,970円
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