Innocent Greyから発売されているサイコミステリーアドベンチャーゲーム『殻ノ少女』。
ゲーム作品としては珍しく、本格的なミステリーを味わうことができます。
この殻ノ少女はシリーズ化していて、
- 殻ノ少女
- 虚ノ少女
- 天ノ少女
の3部作で構成されています。(読み方は全て「カラノショウジョ」)
この3作品はキャラクターやストーリーが繋がってくる部分が多いので、殻→虚→天の順番でプレイするのがおすすめです。
今回はこの殻ノ少女シリーズ3作をそれぞれの魅力とともに紹介していきます。
殻ノ少女
2008年7月4日に発売された作品で、その後2019年12月20日には『殻ノ少女《FULL VOICE HD SIZE EDITION》』としてリマスター化されました。
本作は、美少女ゲームアワード2008のBGM部門とプロモーション部門で金賞、シナリオ部門とグラフィック部門でも優秀賞を獲得するなど評価の高いゲームです。
ストーリーについて
昭和三十一年、三月。
敗戦から十年が過ぎ、在りし日の姿を取り戻しつつある街、東京。
私立探偵の時坂玲人は、井の頭公園にて学生服を身にまとった少女・朽木冬子から変わった依頼を受ける。
その依頼とは、「本当の自分を見つけ出してほしい」というものだった。
ちょうどその頃、玲人は警視庁時代の同僚・魚住から少女ばかりを狙った連続殺人事件の調査の依頼がきており、玲人の妹・紫の通う「櫻羽女学院」の教頭からも、行方不明になった生徒の捜索の依頼を受けることとなる。
教頭からの依頼を遂行するため「櫻羽女学院」へ潜入したところ、玲人は冬子と再会した。
犠牲者が増えゆく新たな事件と、発覚する六年前の事件とのつながり、そして朽木冬子という名の少女の謎について追及していく。
というあらすじ。
ゲーム性について
ストーリーの大部分は、テキスト型のアドベンチャー形式で進んでいきます。
そのため、選択肢による分岐や複数のエンディングがあり、プレイヤーの意思や判断によってバッドエンドやトゥルーエンドと大きく変わります。
ただ、このテキスト形式のビジュアルノベルだけでは終わらないのが『殻ノ少女』シリーズの魅力。
作中には「Detective システム」が採用され、
- 「基本パート」
- 「探索パート」
- 「捜査パート」
- 「推理パート」
の4つのパートで構成されています。
そのため、一つの事件の解決までの過程に偏りがなく、事件内容やキャラクターとのつながりを深く掘り下げることができるため物語の内容をとても理解しやすいです。
また、探偵らしさを感じられる「手帳システム」では、入手した情報や各キャラクターの詳細、相関図、マップなど保管できるため自由に見返して考察することができます。
「和」を感じられるBGMも良く、事件パートの緊張感とは反対に日常シーンでは癒されます。
実在する東京のスポットも登場するため、クリア後に聖地巡りをするのも面白いかもしれません。
数々の事件たちが、物語の核になる重大な事件の真相の手がかりにつながっていく感覚が最高に面白い作品です。
ミステリー好きや、シナリオ重視のプレイヤーには特におすすめで、『殻ノ少女』シリーズを楽しむにはプレイ必須の一作目。
DL版
7,800円
※ブラウザ版(β)対応作品のため、スマホでもプレイ可能です。
虚ノ少女
2013年2月8日に発売された作品で、2020年8月28日には『虚ノ少女《NEW CAST REMASTER EDITION》』としてリマスター化されました。
ストーリーについて
日本が戦への道を歩み始めた、戦前の時代。
北陸の雪深い山中に人形(ヒトガタ)と云う集落があった。
「ヒンナサマ」と云う土人形を祀る奇妙な風習が残る此の地にて、祭りの夜にひとりの女が殺されていた。
村のものは口々に「ヒンナサマ」の祟りだと口にした。
昭和三十二年、十二月。
朽木冬子が病室より攫われてから、およそ二年の歳月が過ぎていた。
時坂玲人の妹・紫は、井の頭公園で自殺を図ろうとしていた男・真崎智之を助ける。
この男こそ現在に黄泉帰った「ヒンナサマの祟り」の被疑者であった。
玲人は事件捜査の助手として智之を迎え、事件解明へと足を進める内に古い因習にとりつかれた人々と、彼らに人生を翻弄された子供たちを巡る因縁に巻き込まれていく。
というあらすじ。
ゲーム性について
基本的なゲームシステムは前作から引き継がれていて、違和感なくプレイすることが可能です。
ただ、ストーリーに関しては閉鎖的な集落で起こる殺人事件や祟り、宗教など、前作に比べてより伝奇ものの要素が強くなっています。
そのため前作とは毛色の違ったミステリーを本作では味わえます。
今作ではストーリーの中に「現在篇」と「過去篇」の2編が組み込まれているのが特徴です。
現在篇は、昭和32年12月からの翌年の1月までを舞台に事件の解明を進めていくストーリー。
過去篇は、昭和10年代中頃から終戦直後までの集落で起こる事件の謎やあらましを描いたストーリー。
とそれぞれ違った時代で起こる事件を体験でき、時の流れや時代の変化を感じることができます。
伝奇ものミステリー作品や、閉鎖的な村でおこる独特の恐怖が好きな方には特にハマるような作品です。
DL版
天ノ少女
2020年12月25日に発売された作品で、シリーズ3部作の最終章。
本作は萌えゲーアワード2020でシナリオ賞の金賞に輝いた高評価の作品です。
ストーリーについて
昭和三十三年、一月。
珍しく雪が多く、とても寒い年だった。その日灰色の雪が舞う中、少女の葬儀は執り行われた。
雪に包まれた遺影の少女は、どこか気恥ずかしそうで、どこか寂しげな表情で其処に居た。
天恵会をめぐる事件が一応の解決をして数日後、獄中にあった画家・間宮心像が死去した。
時坂玲人は旧知の学芸員マリス・ステラと共に、間宮心像の遺品の整理へ赴く。
そこにあったのは腕のない片翼の天使を描いた未発表作だった。
因縁のある『殻ノ少女』にも通じる、美しさと禍々しさの入り交じったその絵は『天罰』と名付けられた。
それからさらに数日後、『天罰』の天使と同じように装飾された女性の死体が発見された。
彼女はかつて真崎智之と同じ職場に勤めていた人物だった。
『殻ノ少女』から始まり、『天罰』へと紡がれていく絡み合った偏執を断ち切ることができるのは、たった一人の小さな少女の存在なのかもしれない。
ゲーム性について
今作も同様、前作のゲームシステムを引き継いでいます。
本作は完結編のため、物語や事件、各キャラクターの抱える問題の多くが収束に向かっていきます。
これまで登場してきたキャラクターたちが一同に集結するため、シリーズファンにはとても感慨深いです。
エンディングによっては意外な結末を迎える人物もいて、サプライズ的な内容となっています。
そしてメインとなるトゥルーエンドのラストは最終章にふさわしいとても感動的なものになっていて、シリーズの集大成として最高のエンディングです。
過去作から続く一連の重厚なストーリーを追ったからこそ体感できる感動なので、ぜひ『天ノ少女』に至るまでの物語を全てを味わってからプレイしてほしい傑作です。
DL版
「カラノショウジョ」シリーズをより深く楽しむために
「殻ノ少女」シリーズと世界観や舞台が同じゲーム作品としてInnocent Greyのデビュー作「カルタグラ 〜ツキ狂イノ病〜」があります。
この作品に登場するキャラクターも殻の少女シリーズに多く登場しているので、より深く楽しみたい方にはプレイ必須です。
ゲームのシステムはところどころ違いますが、シナリオがデビュー作にして衝撃的で引き込まれる内容になっています。
HDリメイク版が2023年4月28日に発売されているので、未プレイの方にぜひプレイしてもらいたいおすすめの作品です。
この記事で紹介しています↓
DL版
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