発売日 | 2003年12月26日 |
ジャンル | サスペンスホラーADV |
メーカー | ニトロプラス |
対象年齢 | R-18 |
ニトロプラスから発売されたサスペンスホラーアドベンチャーゲーム『沙耶の唄』。
本作はエロゲ界隈でもとりわけ知名度が高く、15年以上経った今でもグッズやフィギュアが発売されるほど人気の高い作品です。
今回はそんな『沙耶の唄』をプレイしてみて感じたことや良かった点、人によって評価の分かれる点について紹介していきます。
『沙耶の唄』について
『沙耶の唄』のストーリー
登場人物
匂坂 郁紀
本編の主人公。
不幸な事故を境に、現実と悪夢の境界線に囚われ続けることになる。
沙耶
謎の少女。
失踪した父親、奥涯雅彦を探すうち、入院中だった郁紀と運命的な出逢いを果たす。
戸尾 耕司
郁紀の親友。
郁紀の怪しげな言動を訝りつつも、仲間たちを支えていこうと奮闘する。
高畠 青海
耕司の彼女。
郁紀の豹変によって悩む瑶を心配する、心優しい女性。
津久葉 瑶
青海の親友。
郁紀に想いを寄せていたものの、事故を境に人が変わった郁紀の態度に戸惑い、気に病むようになる。
つい他人に依存しがちで、場の雰囲気に流されてしまうことが多い。
丹保 凉子
事故の後遺症に悩む郁紀の主治医。
過去に奥涯雅彦と何らかの接点があったらしい。
『沙耶の唄』のゲーム性
本作はテキストアドベンチャー形式のヴィジュアルノベル。
キャラクターはフルボイスのため、テキストだけでは味わえない臨場感を味わえます。
エンディングは3種類あり、選択肢も分かりやすくルート分岐に直接的に関わってくるので複雑な要素がなく、ノベル初心者にもおすすめ。
大学生として日々を過ごす主人公たちのリアル感と、全てのものが異物に見えてしまう主人公視点の狂気な世界の違いが対照的で面白いです。
作中には主人公以外からの視点のテキストも一部あるので、周りから映る匂坂郁紀の異常さや奇行も客観的に体感できます。
前半では日常とホラー要素、後半ではサスペンスとバイオレンスな内容が強めで、最初と最後で違った面白さがあるのも特徴です。
良かった点
衝撃の開幕シーン
ゲームスタートすると、いきなり肉塊同士が意味不明の言語で話し合う衝撃的なシーンから始まります。
『沙耶の唄』の世界観や設定をダイレクトに伝えてくれるような驚がくの幕開けになっているので、一気に引き付けられます。
挑戦的で風変わりな作品を生み出してきたニトロプラスだからこそ実現したイントロシーンに仕上がっています。
前半のサスペンスホラー要素のクオリティの高さ
物語の前半では主人公匂坂郁紀の奇行や崩壊していく心理状態を描いていて、心霊とは違った人間的な恐怖をうまく表現されています。
主人公視点とそれ以外のキャラからの視点をそれぞれ楽しめるので、人間的な恐怖を味わえる作品が好きの方には特におすすめです。
純愛をテーマにしたストーリー
狂気で退廃とした作風ですが、ストーリーの本質的な部分では異質でねじ曲がった純愛が描かれています。
匂坂郁紀と正体不明の少女・沙耶の2人だけの異界で深まっていく絆と、それに振り回されていく周りのキャラクターたちの恐怖をそれぞれ違った角度から味わえます。
攻略のしやすさ
本作は選択肢も少なく、複雑なルート分岐がないためノベルゲームの中でもトップレベルに攻略が簡単です。
ストーリーやゲーム内容に集中したい方には、かなり嬉しい要素かもしれません。
人によって評価の分かれる点
グロテスクなシーンやテキストが多め
開幕からグロテスクな表現でスタートするぶっ飛んだ内容なので、もちろん全編少しグロテスクな作風になっています。
特に作中に登場する「冷蔵庫」のシーンは衝撃的で、トラウマシーンとして有名。
ただイラストのグロさは全体的にみるとそこまで強くなく、どちらかといえばテキストでのグロさや暴力的な表現が多く感じました。
多少そういった表現苦手なぐらいであれば、特に問題ない程度だと思います。
クリアまでの時間が短い
本作は、他作品と比べてもかなりクリア時間が短く、4~6時間と一日でクリアできるぐらいのボリュームになっています。
ただ短さに対してストーリーなどゲームとしての内容がとても濃いので、プレイ後の満足感は高いです。
大ボリュームなゲームがプレイしたい方にはあまり向きませんが、サクッとクオリティの高い作品をプレイしたい方には嬉しい要素かもしれません。
総評
狂気の世界と純愛で切なさのあるシナリオをホラーテイストに描いたニトロプラスの傑作。
本作のシナリオライター虚淵玄氏の作品をプレイしたことがない方には最初の1作にプレイしてほしい作品です。
サクッとプレイできるゲームが好きな方にもおすすめなので、興味のある方はぜひプレイしてみてください。
DL版
パッケージ版
3,080円
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