発売日 | 2015年12月3日 |
ジャンル | ホラーサスペンスノベルADV |
メーカー | ケムコ |
2015年12月3日にケムコから発売されたアドベンチャーゲーム『レイジングループ』。
人狼ゲームを題材にしたシナリオが話題になった作品で、
- 『トガビトノセンリツ』
- 『D.M.L.C. -デスマッチラブコメ-』
などを手掛けたamphibian氏がシナリオ・ディレクターを担当しています。
今回はそんな『レイジングループ』をプレイしてみて感じたことや良かった点、人によって評価の分かれる点について紹介していきます。
DL版
レイジングループ『レイジングループ』について
『レイジングループ』のストーリー
本作は「人狼ゲーム」をテーマにした、テキストを読み進めていく選択肢分岐型のアドベンチャーゲーム。
バイク旅行中に道に迷った主人公・房石陽明は、その道中で出会う芹沢 千枝実の助けによって藤良村(ふじよしむら)の休水(やすみず)という集落に訪れる。
そこで発生する謎の霧や狼の姿をした人間(人狼)など不可解な出来事を目にし、その村の因習「黄泉忌みの宴」に巻き込まれていく。
という物語。
この「黄泉忌みの宴」こそが人狼ゲームを味わえる本作のメインとなるイベント。
お互いを疑い合った状態で話し合いながら、人間として振る舞う「人狼」を暴いて生存を目指していくハラハラ感を楽しめます。
登場キャラクター(宴の参加者)は、
- 房石 陽明
- 芹沢 千枝実
- 回末 李花子
- 巻島 春
- 織部 泰長
- 醸田 近望
- 室 匠
- 織部 かおり
- 織部 義次
- 山脇 多恵
- 巻島 寛造
- 能里 清之介
- 狼じじい
- めー子
- 馬宮 久子
- 橋本 雄大
の16人。
年齢や性別もバラバラで、関係性や村民であるかどうかといった要素が「宴」に大きく影響していきます。
各キャラクター紹介
房石 陽明
(ふさいし はるあき)
本作の主人公。24歳。
バイク旅行中に道に迷い、事故に遭い、休水集落に辿りつく。
誰に対しても人当たりのよい好青年として振る舞うが……
なぜか死亡するたびに5月11日の深夜、バイクで立ち往生している時点に戻される「死に戻り」現象を体験している。
芹沢 千枝実
(せりざわ ちえみ)
遠方の大学に通う女性。21歳。
故郷である藤良村に帰省している間に事件に巻き込まれる。
性格は快活で社交的。事故に遭った陽明を最初に助けたのも彼女である。
休水住人が「学生寮」と呼ぶアパートの一室、202号室に住んでいる。
回末 李花子
(うえまつ りかこ)
藤良村在住の女性。27歳。
「四家」「長者」などと称される藤良村の名家のひとつ「回末家」の当主にして唯一の末裔。
超然とした居住まいと言葉遣いで、藤良村独自の風習や伝説を語る。
今は本人の意志で休水集落の広場近くの一軒家に居住している。
巻島 春
(まきしま はる)
藤良村在住の少女。15歳。高校生。
鬱屈した心情と奇抜な美的感覚を有している。
時折、奇妙な口調で意味不明なことを口走ることがある。
巻島寛造の孫である。祖父とは諸事情からぎくしゃくしている。
休水住人が「学生寮」と呼ぶアパートの一室、201号室に住んでいる。
織部 泰長
(おりべ やすなが)
藤良村在住の少年。16歳。高校生。
頭脳明晰で礼儀正しく、また明朗な性格であり、高校生3人の中ではまとめ役をつとめる。
織部かおりの長男であり、織部義次の兄である。
休水住人が「学生寮」と呼ぶアパートの一室、102号室に住んでいる。
醸田 近望
(かもしだ ちかもち)
藤良村在住の少年。16歳。高校生。
一風変わった感性の持ち主。直感が鋭く、理由不明のまま真実を言い当てることがある。
狼じじいとつるんで悪さをすることがたびたびある。
休水住人が「学生寮」と呼ぶアパートの一室、101号室に住んでいる。
室 匠
(むろ たくみ)
藤良村在住の男性。35歳。
農業や様々な力仕事をこなし日々を送っている。
豪放磊落で面倒見がよく、山脇多恵をはじめとする年長者や芹沢千枝実をはじめとする若者のどちらとも気安く話せる稀有な人物。
休水集落の広場近くの一軒家に居住している。
織部 かおり
(おりべ かおり)
藤良村在住の女性。37歳。
休水集落の共同食堂を一人で切り盛りしている。
未亡人であり、織部泰長、織部義次の母親である。
穏やかで日和見気味な性格だが、母として厳しい一面を見せることもある。
食堂の2階に居住している。
織部 義次
(おりべ よしつぐ)
藤良村在住の少年。14歳。中学生。
閉塞的な住環境や立場に反抗し、誰彼かまわず攻撃的な言動を取り続けている。学校もサボりがち。
織部かおりの次男であり、織部泰長の弟である。
食堂の裏手の離れに居住している。
馬宮 久子
(まみや ひさこ)
関東在住の女性。29歳。
フリーランスのフード系ライター。珍味や奇食の実地レポートを主にし、日本各地を回っている。
理知的ではきはきとした口調で話す。
橋本雄大とは仕事上のパートナー。
休水集落から離れた上藤良に宿をとっている。
橋本 雄大
(はしもと ゆうだい)
関東在住の男性。42歳。
腕の良いカメラマンで比較的名前も知られている。
見ての通りの巨漢であり、仕事中は無口であるため、得体のしれない人物だと評価されがちである。
馬宮久子とは仕事上のパートナー。彼自身は妻子持ちである。
休水集落から離れた上藤良に宿をとっている。
能里 清之介
(のさと きよのすけ)
藤良村在住の男性。32歳。
「四家」「長者」などと称される藤良村の名家のひとつ「能里家」の次男であり、当主の弟である。
医師の資格を持っているが、長年村外で定職につかずぶらぶらしていたのを最近呼び戻された。
休水集落の名では最高所にある館(通称「能里屋敷」)に逗留している。
山脇 多恵
(やまわき たえ)
藤良村在住の女性。73歳。
休水集落の名代。
主に農業に従事して暮らしている。
信心深い老人で、価値観の隔たった若者や外来者に対して狭量な態度をとることも珍しくない。
休水集落の棚田の上にある一軒家に居住している。
狼じじい
藤良村在住の男性。年齢不詳。
数十年来、日がな一日、集落を徘徊しては「おおかみがくる」という台詞を連呼している。
醸田近望とつるんで悪さをすることもあるが、基本的には人畜無害な徘徊老人とみなされている。
休水集落の墓所の近くのあばら家に居住しているらしいが……
巻島 寛造
(まきしま かんぞう)
藤良村在住の男性。61歳。
主にイノシシとシカを対象とした狩猟を行っている。
厳格で粗野な性格だが、多大な決断力と発言力も有しており、実質的な休水の統率者である。
巻島春の祖父。
休水集落の広場近くの一軒家に居住している。
めー子
少女。推定4歳。
「皿永の瀬」で迷っているところを保護された。この出自は伝承上不吉であり、住人達は不穏に思っている。
名の由来は「めぇめぇ」と泣いてばかりで名前も住所も口にしないことから。
回末李花子に世話をされている。
休水集落の広場近くの一軒家に居住している。
『レイジングループ』のゲーム性
「KEY」システム
本作の特徴は、各エンディング(バッドエンドも含む)にたどり着くことで獲得できる、ストーリー分岐を解放できる番号の書かれた鍵「KEY」システム。
この鍵を使うことで、それまで選べなかった選択肢のルートや新たなストーリーに分岐することができます。
各エンディングを踏まえたうえで物語が進展していく感じが面白く、よりストーリーを順序立てて理解しやすくなっています。
ガイド役「ひつじ」&「りかこ」
本作には、遊び方やチュートリアル、ゲーム攻略のサポートをしてくれるキャラクターがいます。
特に「ひつじ」に関しては、ゲームオーバーを回避するヒントを教えてくれるだけでなく、ストーリー終盤に大きく関わってきます。
攻略サイトなく、ゲーム内で完結できるのでゲームにい集中したい人にはありがたい要素です。
良かった点
高度な心理戦を楽しめる「人狼ゲーム」要素
本作の魅力はなんといっても、「黄泉忌みの宴」の高度な心理バトル。
人間のなかには「加護」とよばれる能力が付与され、
- へび
-
一晩に一人、選んだ人が「人狼」かどうかを知ることができる
- くも
-
一晩に一人、選んだ人間を「人狼」からの襲撃から守ることができる
- さる
-
2人の人間に付与され、互いに「さる」の加護持ちであることを知ることができる
- からす
-
前日の宴でくくられた人物が、「人狼」かどうかを知ることができる
加護持ちを主張したり、騙ったりと誰を信じればいいか分からなくなるような腹の探り合いが面白かったです。
「ループ」を活かしたストーリー
本作には「人狼ゲーム」だけでなく、「ループもの」の要素もあります。
ループしていくごとに誰が人狼か、加護持ちかなどの宴の配役が大きく変わるので、ループごとに新鮮な気持ちで読み進められます。
ループによって主人公の知識も膨らんでいくことで、ストーリーが大きく進展していく面白さも感じられます。
緻密なキャラクターと舞台設定
各キャラクターの生い立ちや個性、「藤良村」に潜む闇など、キャラクターや舞台設定が緻密。
まともそうに見えてナチュラルサイコパスな発言をする主人公や、「人狼」がバレて発狂するキャラクターなどキャラクターの意外な面や裏の顔も楽しめます。
キャラクターそれぞれに見せ場となるシーンがあり、衝撃的な過去や関わりのあるキャラも多いので深掘りしたくなる内容。
セーブする手間が省ける「チャートシステム」
チャートシステムがあることで、選択肢の場面で毎回セーブする必要がなく、前のシーン戻りたいときにすぐにリプレイできるシステムが快適。
どこに選択肢があるかや「KEY」が必要になるかが一目でわかるので、わずらわしい分岐が苦手な人にでも問題なく楽しめます。
人によって評価の分かれる点
あくまでテキストアドベンチャーゲーム
本作は「人狼ゲーム」を題材にしていますが、あくまでもアドベンチャーゲーム。
AIキャラと戦ったり、プレイヤーがランダムに決められた役割をこなしていく人狼シミュレーションゲームではないので注意!
終盤の展開がプレイヤーの好みに分かれる
終盤のこれまでの謎が解き明かされていく最終章は、これまでの「人狼」とは違ったテイストになるのでプレイヤーによっては好みが分かれるかもしれません。
伝奇モノや、謎を解き明かしていく系の作品が好きな人にはハマる展開なので、「人狼」以外の要素でも楽しめます。
総評
人狼ならではの高度な心理戦を味わえる大作アドベンチャーゲーム。
ゲームとしてのボリュームも凄く、ルート分岐も豊富で心理バトルやノベルゲームが好きな人にはハマる内容になっています。
興味のある方はぜひプレイしてみてください。
DL版
3,055円
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