
発売日(PC) | 通常版:2000年6月30日 完全版:2009年10月30日 |
ジャンル | 田舎学園物+ホラーノベルADV |
メーカー | TOPCAT |
対象年齢 | R-18 |
2000年にTOPCATから発売されたテキストアドベンチャー形式のアダルトゲーム。
知名度はそれほど高くないもののプレイヤーからの評価は高く、2009年にはリメイクした完全版と続編『アトリの空と真鍮の月』が発売されました。
今回はそんな『果てしなく青い、この空の下で…。』をプレイしてみて感じたことや良かった点、人によって評価の分かれる点について紹介していきます。
『果てしなく青い、この空の下で…。』について
『果てしなく青い、この空の下で…。』のストーリー

始まりは安曇学園の閉鎖だった。
果てしなく青いこの空の下で…。より引用
いつか……。ふと思ったことがある。
俺の胸の中で永遠に繰り返されるだろうこの物語は実は俺たちだけが見た幻ではないだろうか…。
安曇学園が閉鎖となったこの年、俺たちはうつりゆく季節の中でお互いの大切さを確認し合った。
現実とも言えないあの時間の中では、それだけが自分を確認できる唯一の手段だった。
だが、他人は言う。
「そんなことは何もなかった。お前は幻を見たのだ」と。
それでいいのかもしれない。
夢であれ幻であれ、俺はこの事を忘れはしない。
彼女が俺を優しい笑顔で見つめてくれるのなら、俺は何よりもそれが一番大切だから。
登場キャラクター (ヒロインのみ)

『果てしなく青い、この空の下で…。』のゲーム性

本作は、山に囲まれた田舎の村を舞台にした田舎学園物+村の伝承を題材にした伝奇ホラーを混ぜ合わせたアドベンチャーゲーム。
5人のヒロインキャラクターにそれぞれエンディングがあり、全員のルートを見ることで村にまつわる深い謎や言い伝えの意味が明らかになっていきます。
どのルートも内容が濃く、キャラクターごとのイベントが豊富。
田舎のほのぼのとした雰囲気だけではない、逃げ場のない恐怖や闇の側面も感じられるような内容になっています。
ノスタルジーや爽やかさ、恐怖、鬱をこの1作で体感できる異色作です。


また、ゲームとしては珍しく縦書きテキストにも対応しているため、小説などの本が好きな方にもおすすめ。
また、ただ物語を読み進めていくだけでなく、一部のシナリオでは謎解きやちょっとしたパズル要素があり、プレイヤーを飽きさせないような工夫が感じられます。
ストーリーだけでなく、ゲームならではの面白さにも凝った作品です。
良かった点

伝奇ホラーの面白さを詰め込んだ完成度の高いストーリー
伝奇モノの幻想的な雰囲気と田舎が舞台であることを活かしたホラー要素とパニック要素が最高に面白かったです。
プレイを進めていくたびに続きが気になる物語の構成と、キャラクターそれぞれに降りかかる災難のシーンの没入感が凄い!
伝奇モノの作品が好きな方には特におすすめできるような作品でした。
忠実に表現された「田舎」の閉塞感
作中の絵や背景では田んぼや神社、川など田舎の町並みがリアルに表現されていてとても臨場感があります。
イラストとしてのリアル感と物語のダークさもあって、息の詰まるような田舎の閉塞感が読み手にも伝わってくるほど。
多くの伝承やしきたりが残る闇深い田舎の村を仮想体験できます。
ノスタルジックで爽やかなゲームBGM
ピアノやエレピ、アコギ、笛などを使ったBGMが多く登場し、ゲームの雰囲気と凄くマッチしています。
特に重いストーリーになる前の明るい日常シーンで流れる曲は、爽やかで癒されるような曲が多く最高でした。
逆に緊迫感のあるシーンでは焦りのある暗めの曲が流れるので、そのギャップも良かったです。
テーマ曲の「nikoensis ~追想~」も名曲。
サントラを購入するほどハマったので、ゲームBGMが好きという方にもおすすめの作品です。
一部のシナリオにある謎解きパズル要素
一部のシナリオには、プレイヤーが考えて選択順を決めて謎を解いていくちょっとしたパズル要素があります。
どうしても読むだけになりがちなアドベンチャーゲームを考えて楽しめるように作られていて、その後の物語にも入り込みやすかったです。
人によって評価の分かれる点

鬱要素が多め
本作では、悪徳な地上げ屋とのバトルやキャラクターが抱える闇を描いているので鬱要素が他作品に比べて多めです。
ただ、ストーリーの結末は感動的で明るい内容になっているので、プレイ後には物語のエッセンスとして鬱要素がとても重要に感じると思います。
シナリオゲーが好きな方は、鬱要素のあるストーリーが好きな方も多いのでマイナス要素ではありませんが、苦手な方にはおすすめできないかもしれません。
一部で少しハードな凌辱シーンあり
一部のキャラクターのシナリオでは、少しハードな凌辱シーンが登場します。
ただシーン数としては少ないので、そういったシーンが多少苦手な程度であれば特に問題ありません。
総評
田舎学園物+ホラーを掛け合わせたアドベンチャーゲームの隠れた名作。
似たような作風やテーマのゲームがあまりないため、本作ならではの独特の雰囲気や面白さを楽しめます。
伝奇モノ好きであれば間違いなくハマれるような内容になっているので、ぜひ興味のある方はプレイしてみてください。
DL版

3,982円
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