
発売日(PC) | 特装初回版:2010年3月26日 通常版:2010年5月14日 |
ジャンル | アドベンチャー |
メーカー | ケロQ |
対象年齢 | R-18 |
2010年にケロQから発売されたアダルトゲームで、略称は「すばひび」。
萌えゲーアワード2010では、大賞部門銅賞・シナリオ賞部門金賞を受賞した評価の高い作品です。
今回はそんな『素晴らしき日々 〜不連続存在〜』をプレイして感じたことや良かった点、人によって評価の分かれる点について紹介していきます。
『素晴らしき日々 〜不連続存在〜』について
『素晴らしき日々 〜不連続存在〜』のストーリー

「“言葉と旋律”の物語」
公式サイトより引用
それぞれの物語は旋律。
それらの旋律はさらに大きな物語と共鳴してゆく……。
「空と世界」「終わりと始まり」「文学と化学」「救世主と英雄」「兄と妹」「向日葵と坂道」
言葉は旋律となる。
『素晴らしき日々』とはそういった物語。
“Down the Rabbit-Hole” ――「空と世界」の物語
夜空に現れる夏の大三角、そこは“世界の少女”と“空の少女”が出会う場所であるという伝承がある。
この伝承の下に集まった四人の少女達は、その空を探す冒険を始める。
“It’s my own Invention” ――「終わりと始まり」の物語
とある事件をきっかけに世界と自己との認識がズレ始める。
認識のズレの先、彼は世界の限界の場所に救いを見いだす。
“Looking-glass Insects” ――「文学少女と化学少女」の物語
二人の少女の戦いの話。彼女達は文学と化学をつかい、現実と戦う。
文学は強き意志、化学は物理世界に対する力。この二つだけが現実に対する彼女達の武器となる。
“Jabberwocky” ――「救世主と英雄」の物語
破壊者である事を運命づけられた少年の話。彼は、調和する世界のために創造者を破壊しなければならない。
“Which Dreamed It” ――「兄と妹」の物語
兄を慕う少女。彼女はずっと兄との約束を信じて、向日葵の坂道の下で待っている。
“JabberwockyⅡ” ――「向日葵と坂道」の物語
遠い世界の話。向日葵の坂道と、その先にある風景が語られる。
という6つの章から構成されたストーリー。
章ごとに物語の主人公が変わり、同じ時間軸でそれぞれの主人公が体験した出来事を知っていくことで物語の真相が明らかになっていきます。
また、フルボイスHD版では“Knokin’on heven’s door”という新たなルートが追加され、より本作のストーリーや世界観に浸れます。
登場キャラクター


- 1章:水上由紀
- 2章:間宮卓司
- 3章:高島ざくろ
- 4章:悠木皆守
- 5章:間宮羽咲
- 6章:悠木皆守
の主人公視点で進んでいきます。
『素晴らしき日々 〜不連続存在〜』のゲーム性

本作は、一般的な美少女ゲームと同じくテキストがメインのアドベンチャーゲーム。
もちろん選択肢によるストーリー分岐がありますが、章ごとに分かれていることもあって基本的にメインとなる物語は一本道。
複数の異なるエンディングを楽しむというよりも、一本の大きいドラマ的なシナリオをプレイヤーの選択を交えつつ体験していくゲーム性になっています。
ただ初めにプレイする1章では、謎や奇妙さを残した続きが気になるような複数のエンディングを見ることで2章が解放される特殊な進め方。
分岐や攻略に関しては複雑さはなく、比較的分かりやすい仕様になっています。


ゲームシステムの分かりやすさに対して、ストーリーや作中の小話の難解さが特徴的。
本作と同じくケロQから発売された『終ノ空』を基にして作られたため、哲学や電波、神話、ホラーなどが盛り込まれたカオスなシーンも多く登場します。
ただ、この狂気的で意味不明に感じるようなシーンにも実は意味があり、ラストには謎が解かれ感動につながっていく重厚なシナリオが大きな魅力です。
意味不明で小難しい話だからと投げ出すにはもったいない緻密なストーリーを最終章では堪能できます。
良かった点

たくさんの伏線が張り巡らされた難解で圧巻のシナリオ
本作にはたくさんの伏線が張り巡らされていて、一見しただけでは気づかないような意味不明なシーン全てが物語には必要なピースになっています。
そのため、2周目でも新しい発見や新鮮さのある珍しいゲームで、読めば読むほどに理解が深まっていきます。
哲学や神話など、衒学的な小難しいモノを題材にしたストーリーが好きな方には特にピッタリの内容です!
章ごとに変わる主人公とテキストの雰囲気
章ごとに主人公が変わっていきますが、それと一緒にプレイヤーが体感できるテキストの雰囲気や演出も大きく変わります。
- 1章では 「日常」と「ホラー」
- 2章では 「電波」、「狂気」
- 3章では 「鬱」
- 4章~5章では「解明」、「補足」
- 6章では 「感動」
というようにそれぞれの章で違った毛色のストーリーが展開されるので、衝撃度は高いです。
3章までに違った視点と演出で散りばめられた謎が、4章以降でまとまっていく面白さが本作の大きな魅力。
攻略しやすいアドベンチャーゲーム要素
他作品に比べて複雑なルート分岐がなく、ADVのゲーム作品としてとてもプレイしやすいです。
1つのメインシナリオを攻略していくという目標があるため、プレイヤーが迷子になることなくエンディングを迎えられます。
複雑な分岐が煩わしいという方には、嬉しい要素かもしれません。
人によって評価の分かれる点

特殊性癖やメチャクチャなシーン多め
物語の性質上、よくあるような絡みシーンだけでなく、特殊性癖を前面に押し出したようなシーンが多く登場します。
そういったシーンが興味のない方や惹かれない方も多いと思いますが、これすらもストーリーにはとても重要な要素になってきます。
もし特殊な絡みシーンに強い抵抗感がある方にはあまり受け入れられないかもしれません。
1章の序盤部分が盛り上がりに欠ける
1章の序盤は、平凡な日常シーンや意味不明な描写の連続で盛り上がりに欠けます。
ただ、尻上がりに面白くなっていくので、合わないと感じても1~2章、できれば4章以降までプレイするのをおすすめします。
物語の最初と最後で、評価がまるっきり変わったプレイヤーが数多くいるので、最後までプレイしてほしいような作品です。
総評
緻密に構成された圧巻のシナリオが魅力の人気作。
万人受けするような内容ではないですが、刺さる人には刺さりすぎる難解でメッセージ性の強い作品になっています。
ストーリー重視で楽しみたい方や難解な作風が好きな方に特におすすめなので、ぜひ興味のある方は是非プレイしてみてください。
DL版

7,980円
パッケージ版

8,324円
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