【PCゲーム】WHITE ALBUM 2 レビュー 【ホワルバ2 Extended Edition】

発売日 (Extended Edition)2018年2月14日
 ジャンル  恋愛アドベンチャー 
メーカーLeaf
対象年齢R-18

1998年にLeafから発売された恋愛アドベンチャーゲーム『WHITE ALBUM』の続編で、プレイヤーから最高傑作とよばれるほど評価の高い『WHITE ALBUM2』。

ホワイトアルバム2は元々、2010年3月リリースの序章と、2011年12月リリースの終章の前後編として発売されました。

その後、2018年には待望の序章と終章、追加エピソード、ドラマCD、デジタルノベルを全て詰め込んだ完全版『WHITE ALBUM2 EXTENDED EDITION』としてリリースされています。

今回はそんな名作『WHITE ALBUM2』をプレイしてみて感じたことや良かった点、人によって評価の分かれる点について紹介していきます。

DL版

WHITE ALBUM2


パッケージ版

WHITE ALBUM2

目次

『WHITE ALBUM2』について

『WHITE ALBUM2』のストーリー

WHITE ALBUM2』のストーリーは、

  • introductory chapter (高校時代)
  • closing chapter (大学時代)
  • coda (社会人時代)

の3つの章で構成されています。(略、ic/cc/coda)

最終章の「coda」は元々、「closing chapter」クリア後のシークレットルートとして用意されたストーリー。

シナリオライター 丸戸史明氏が本作で一番描きたかったというほど最重要な章となっています。

各章のプロローグ

introductory chapter のプロローグ

冷たい風を震わせて、歌が聴こえてきた――

夕暮れの音楽室で俺が奏でるギターに合わせるように。
隣の教室で顔も知らない誰かが奏でるピアノに合わせるように。

屋上から響いてきた、鈴が鳴るように高く澄んだその声は、
バラバラだった俺たち三つの旋律を繋いでくれた。

始まりは、そんな晩秋。
そのとき、誰かが誰かに恋をした。

誰もが一生懸命だった。
誰もが強い気持ちで突き進んだ。
誰もが、ひたむきに、まっすぐに、正直に――
心の底で結ばれ、かけがえのない瞬間を手に入れた。

だからそのとき、誰かが誰かに恋をしてしまった。
一足遅れの、してはいけない恋を。

そして冬――降り積もる雪は、すべての罪を覆い隠し。
やがて春――雪解けと共に、すべての罰を下す。

WHITE ALBUM2より引用

closing chapter のプロローグ

冷たい風を震わせて、歌が聴こえてきた――

夕暮れのキャンパスに、誰もいない学食に、寂しげな校舎の窓辺に。

三年前に凍らせたはずのあの歌が。
情熱に突き動かされ、純粋な想いを綴った、欺瞞の歌が溶けてゆく。

あの、三人だった冬も今は遠く、
一人と一人の季節を何度も繰り返し。

続きは、そんな晩秋。
あの時引きちぎろうとした絆の、醜い傷痕が乾くこともなく、
けれど、何かが変わる予感とともに始まっていく。

寂しい二つの旋律は、互いを惹きつけ傷つけて、
そしてまた、新たな旋律を呼び寄せる。

もうすぐ、新しい冬が来る。
あのひとといられない、そしてあいつのいない冬が。

ホワイトアルバムなんて知らない。
だって、もう何も歌えない。

届かない恋なんてしない。
だって、もう人を愛せない。

WHITE ALBUM2より引用

登場人物

「WHITE ALBUM2 -introductory chapter-」から登場

主人公

北原 春希 (きたはら はるき)

峰城大付属3年E組。前期クラス委員長
軽音楽同好会所属。セカンドギター(雑用)担当。
特技は余計なお節介と非の打ち所のない説教と完璧な理論武装。成績はトップクラス。
その面倒見が良すぎて妥協できない性格ゆえ、全校の教師と学生に非常に都合よく慕われている。
学園生活最後の年に、無謀にも派手めな思い出を残そうと思い立ち、学園祭のステージに立つことを計画する。
手先はそこそこ不器用。

小木曽 雪菜 (おぎそ せつな)

峰城大付属3年A組。
ミス峰城大付属二年連続制覇中。
三連覇の期待がかかる高嶺の花。
華やかな容姿に似合わず、穏やかで人当たりが良くて控えめという、非の打ちどころのない女の子。
…と、周囲に三年間信じ込ませることができるくらいにはいい性格で、その見えない壁を打ち破った者にだけ悪戯っぽく微笑むという。
誰にもひた隠しにしているが、趣味はヒトカ………カラオケ。
定番のオープニングナンバーは、ちょっと古めの流行歌(WHITE ALBUM)。

冬馬 かずさ (とうま かずさ)

峰城大付属3年E組。
窓際の席で常に居眠りしている、遅刻、サボリの常習犯にして、大人はわかってくれない的な鬱屈を抱える、時代錯誤な不良娘。
長く艶やかな黒髪、モデル顔負けのスタイル、切れ長の瞳というその孤高で暴力的な性格に似合いすぎる鋭利な美しさのせいで、
余計に周囲との距離が広がってしまうという悪循環に陥っているが、本人は何処吹く風で強がっている。
誰にも聞かれたことはないが、どちらかと言えば緒方理奈派。


「WHITE ALBUM2 -closing chapter-」から登場

杉浦 小春 (すぎうら こはる)

峰城大付属3年A組。前期クラス委員長。元テニス部副主将。
真面目で堅実で、親身な世話と的確な助言が心地良いという、言い方を変えれば誰かとそっくりな性格の少女。
身長を始めサイズは全体的に控えめだが前向きな積極性でカバー。
…ほんの少しだけコンプレックスはあるが、弱みは絶対に見せない。
友達も多く、特にクラスの仲良し四人組とは固い絆で結ばれた間柄。
もちろん仲間内でもリーダー格で、もし親友が傷つけられたりすれば、黙っていられるはずもなく……

和泉 千晶 (いずみ ちあき)

峰城大学文学部3年。
窓際の席どころか、ゼミ室に寝袋を持ち込んで熟睡している、怠惰、無気力、依存症を絵に描いたような典型的な大学生。
要領がよく甘え上手なため、今までなんとか進級してきたが、最近はさすがにゼミのレポートが増えてきたため進級が危ぶまれている。
実は興味を持ったことには寝食を忘れ熱中する性格らしいが、誰もその姿を見たことがないため真偽のほどは定かではない。

風岡 麻理 (かざおか まり)

開桜社という中堅どころの出版社に勤務している雑誌編集者
若手と言うには語弊があるがベテランと言われる筋合いもないお年頃。
同期の中では男女関係なく一番の出世頭で、将来の編集長筆頭候補。
眠っているところを見た者はいないほどの仕事中毒者であり、周囲の羨望と嫉妬と尊敬と恐怖を一身に集めるが、どうせ誰も彼女に勝てないので大した意味はない。
その凛々しさも相まって典型的な “高めすぎて男が寄って来ない” タイプ。

攻略可能キャラは5人ですが、その中でも本作のメインヒロインは小木曽雪菜と冬馬かずさの2人

序章から最終章まで、この2人を軸にした壮大なストーリーが展開していきます。

『WHITE ALBUM2』のゲーム性

本作はテキスト型の恋愛アドベンチャーゲームで、前作と同様「浮気」をコンセプトにしたストーリー

各ルートを選択していく重みや、爽やかさの中にドロドロとした人間模様を感じることができ、プレイヤーからは胃が痛くなるゲームとして有名です。

序章「introductory chapter」では選択肢がなく、周回して読み返すことでルート分岐し、それぞれのキャラのエンディングにつながっていきます。

イラストは、場面によって表情や動きがコロコロ変わる立ち絵を採用しているので、キャラたちがテキストの内容に合うリアクションをとってくれます。

重要なシーンではアニメーションが挟まれたり、暗転して字幕だけになったりと演出的にもこだわられていてとても印象に残りました。

また、本作は冬を舞台にしているため、雪やクリスマスなど冬を感じられるような背景やBGMが多く登場します。

特に「」についてはストーリーにも大きく関わってくる要素で、感動的なシーンにつながる大事なキーワード。

冬の落ち着いた儚げな雰囲気と、シリアスなストーリーが絶妙にマッチして独特な空気感を味わえます。

良かった点

高校時代~社会人時代までを追った壮大なストーリー

本作は、高3から社会人時代1年目までの約5年間にスポットを当てたストーリーが展開されているのが特徴的で面白いです。

ic・cc・codaのどの章もクオリティが高く、学園祭やバイト、海外出張など、その時代ごとのイベントがあり、キャラの成長や関係性を見ることができます。

過去のしがらみや、各キャラの生活の変化もストーリーに大きく影響してくるので、5年間というロングスパンな内容だからこその壮大なシナリオを楽しめます。

もちろん、ゲームとしても通常プレイで40時間~60時間ほどの大ボリュームで、とても内容が濃いのでシナリオ重視の方にとてもおすすめの作品です。

クセがなく読みやすいテキスト

本作のライター丸戸史明氏のテキストは、他作品に見られるようなクセの強い言い回しや小難しい話などがなく、とても読みやすいです。

難解な内容のテキストだと読み疲れしがちですが、本作は長時間プレイしても読み疲れにくく、ストーリーの内容も理解しやすくなっています。

読みやすくクセのないテキストが好みの方にもとてもおすすめです。

前作未プレイでも楽しめる

前作『WHITE ALBUM』をプレイしていなくてもストーリーに直接的なつながりがないので、本作からでも楽しめます

学園祭で演奏する楽曲や、作中の会話の中で前作に登場したキャラや曲名が出てくるので、2をクリア後に前作をプレイしてみるのも新しい発見があって面白いかもしれません。

ドラマCDやデジタルノベルなど盛りだくさんの内容

完全版ではこれまでにリリースされた追加シナリオやドラマCD、デジタルノベルが全て収録されているので、今からプレイするなら完全版一択

特にドラマCDは、音声だけで楽しめるので本編のテキストとは違った良さがあって最高でした。

人によって評価の分かれる点

浮気をテーマにした作品性

本作は「浮気」をテーマにしているので、1人のキャラだけを攻略していきたい方や、フィクションであっても後ろめたさを感じる方には少し抵抗があるかもしれません。

ただ、「浮気」に行きつくまでのストーリーの流れや描き方がとても自然なうえ丁寧で、プレイヤーを納得させてしまうようなシナリオの凄さを味わえます。

トラウマになるほどの鬱とドロドロ感のある後ろめたさと選択の苦しさもこのゲームの魅力なのでぜひプレイしてみてください。

主人公が優等生タイプ

主人公北原春希は、真面目で成績がトップクラス、面倒見が良くて正義感が強すぎる性格。

かなり優等生タイプな主人公なので、少し感情移入しづらい部分やキャラの行動に疑問を感じる部分があるかもしれません。

ただ、そんな優等生な主人公がヒロインたちに翻弄されて「浮気」に直面してしまう複雑な心の動きが本作の面白いところでもあります。

総評

前作『WHITE ALBUM』から「浮気」のコンセプトを引き継いで、より壮大で感動的に描いた最高級のシナリオの本作。

丸戸史明氏の読みやすいテキストのため、シナリオゲーを初めてプレイする方や恋愛ADVを日頃プレイしない方にもおすすめできるような作品です。

大ボリュームな内容のためクリアには少し時間を要しますが、それ以上の感動と充実感を味わえるので、ぜひ興味のある方はプレイしてみてください。

DL版

WHITE ALBUM2

6,600円


パッケージ版

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